男子プロバスケットボールリーグ、B.LEAGUEが3年目の開幕を迎えました。金曜日、土曜日と京都ハンナリーズvs.横浜ビーコルセアーズの試合を実況しました。
実況してみて率直な感想は「ここ2年のバスケットは全然違うことになっている。」
今季もいろんなルール変更はあるものの1番の変更点は「オンザコート」だと思います。
まずオンザコートとは1試合(1Q【クォーター】)で外国籍選手と帰化選手が同時にプレーできるかというシステムです。
昨年までは1試合で合計6P以内を4Qで振り分ける方式で(例えば1Q1、2Q2、3Q1、4Q2)0の場合、そのQは外国籍選手を出すことができません。1は外国籍選手1名、帰化選手1名を同時に出せる、2は外国籍選手2名、帰化選手1名を同時にプレーできるというようにQ毎にプレーできる外国籍選手の人数が決まっていました。
それが今年のルール変更で全てのQでいわゆる「オンザコート2」となりました。つまり外国籍選手がすべてのQで2名同時にコートに立てるようになったのです。
これによって明らかに違うのが『バンバン得点が入る」ようになりました。
過去2年もそうでしたがやはりポイントゲッターは外国籍選手が占めます。その選手たちが1試合通して出られるとなると当然得点力も上がります。
ですから見ている人達には単純に面白さが増してます。これは断言できます。攻守が激しく入れ替わりまた点数もたくさん入るので面白さは増しています。
さらにチームの編成もいろいろ変わりました。昨日実況した横浜ビーコルセアーズは外国籍選手に帰化が認められてその空いた外国籍選手枠に新しい外国籍選手を加入させたりして、外国籍選手3名、帰化選手1名で今季を戦うことになりました。
ただしこの場合外国籍選手のベンチ登録は1試合2名と決められているので3名の内から毎試合2名を決める形になります。
横浜も2年連続残留プレーオフに回っているだけにチームによっていろいろと戦略が変わっていきます。
面白いと感じた一方不安な材料があると私は思っています。
それはバスケットの盛り上がりが「東高西低」になりつつにあるのではないかと。
それは「観客動員数」に表れていると思います。
今年Bリーグは平日開催を増やしました。これはBリーグのチャレンジであり、私もかねてから平日開催を増やすべきという立場なので大賛成なのですが、いざ始めてみると東西で観客動員数が大きく離れている気がしてなりません。
2日間京都のホーム「ハンナリーズアリーナ」で実況をしましたが、2日間とも正直空席がちらほらとみえました。関東にアリーナだとまずまず埋まっている、あるいは満員になっていると聞きました。
当然、そのクラブの努力の賜物だと思います。それをやってるからこそ今の観客動員になっているから素晴らしいことです。
でもやはり盛り上がり的に「西高東低」の感が否めません。そしてクラブの力も「西高東低」の状態です。ここ2年チャンピオンシップの決勝はともに関東勢同士ですし、逆に残留プレーオフには関東のチーム以外が進む比率が高くなっています(ちなみに昨年残留POに進んだのは島根、西宮、富山、横浜)。
クラブの財務状況などにもかなり差があり、簡単には埋められないものもあると思います。
しかしどのスポーツにも言えるのですが、やはり全国的に盛り上がらないとマーケットは当然小さくなって極端な話「リーグ消滅」もありうることになってしまいます。
そうならないためにも今のうちに西日本のチーム(今ならシーホース三河、大阪エヴェッサあたりか)はチャンピオンシップで上位に行って年間チャンピオンに近づいてほしいと思います。
ここ2年盛り上がりとしては順調に来ていると思います。しかしここからJリーグのように定着できるかどうかは、Bリーグの内容の充実はもちろん、クラブの『ある程度』の均衡化、そして『東京オリンピック』です。
クラブの均衡化に対してはいままでのクラブ努力が無駄になるじゃないかとお怒りになるかたも当然いらしゃると思います。しかしこのままいけばBリーグはJリーグやプロ野球には追いつけません。特定の地域でしか盛り上がらないからです。Jリーグは当時プロ野球にはまだなかった『地域密着』を掲げて成功してプロ野球を脅かし、プロ野球も地域密着の流れを作りました。
この2年で土台はできたと思います。じゃあ今度そこに根を張り芽が出て大きく育つにはリーグ全体の事も考えていかないといけません。少しでもいいからBリーグ事務局が資金を分配する。ということも数年間は考えてもいいかと思います。クラブ側もその資金を活かし思い切った策を打っていけば替わる可能性はあるかもしれません。しかし分配金に頼ってるとやがてクラブは消滅する、それぐらいの危機感を持ってクラブ側がどう運営してもいいかなと思います。
そして「東京オリンピック」。まだ日本は東京オリンピックの出場権を獲得できていません。それは今までの日本代表が世界で戦えなかったからです。その日本代表を強くするためにもあらゆるクラブからスター選手がでることが必至になります。まずは来年の世界選手権でベスト8以上の成績を残し出場権を獲得する。そして東京オリンピックで良い成績を残してさらにBリーグが盛り上がる、というシナリオを必ずや実現して、Jリーグやプロ野球を脅かす存在になってほしいと思います。